野良猫ヤマト避妊手術へ
翌朝、避妊手術のためヤマトを動物病院
へ連れて行った夫と私。
多分、生まれて初めて乗ったであろう車
の中で、ヤマトはずっと大きな声で鳴い
ていました。
「怖い思いをさせてごめんね。でも、この
手術をすれば、これ以上不幸な猫が生まれ
ないし、今まで通りヤマトはロビーで暮ら
せるから。」と、私は心の中でヤマトに
謝りました。
獣医さんの話では、ヤマトは1歳半
くらいだそうです。
手術の後、獣医の方から聞いた話では、
ヤマトのお腹には3匹の子猫がいたそうです。
成猫とはいえ、まだこんなにあどけない
顔をした猫がお母さんになるなんて…。
ただでさえ住人の一部から野良猫が増えて
いることへの不満の声があがっているのに、
子猫まで増えれば、もうロビーで飼うことも
ままならないのは目に見えていました。
「子猫が生まれてから里親を募集した
ら良かったのでは?」と思われる方も
いらっしゃると思います。
ですが、既にそんな悠長なことを言って
いられない状況だったのです。
獣医さんともよくお話し、今後かわいそうな
野良猫を増やさないためにも、お腹の子猫たち
には申し訳ありませんでしたが、私たち夫婦は
せめてヤマトだけは助けることを選びました。
獣医さんから「術後、地域猫として戻す予定
なら、片耳を少し切りますか?」と聞かれま
した。
そうすることによって、避妊済と分かるよう
になるそうで、また誰かが知らずに重複して
手術をさせることがないとのことでした。
でも、例え麻酔が効いている間に行うとは
いえ、これ以上ヤマトの体に傷を負わせる
のも気の毒だったのと、地域猫といえども、
全くの外に帰すのではなく、私たち夫婦の
目の届くコンドミニアムのロビーに帰す
予定だったため、耳をカットするのは止め
てもらいました。
避妊手術の翌日、まだ麻酔が切れていない
状態のヤマトです。
お腹に大きな包帯を巻いていて、痛々しい
姿でした。
さすがに術後すぐのヤマトを外に帰すこと
は出来なかったので、傷の状態が良くなる
まで、動物病院に入院させてもらうことに
して、私たち夫婦はヤマトの面会だけして
帰宅しました。
つづく
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